四代目の昔話

昔のことをとてもよく覚えている四代目。

お酒が入るとこれまたよく昔話をしてくれます。

その話のひとつに回転ずしのことがあります。

八幡鮨が加入している戸塚鮨商組合の四代目の組合長に舟根秀雄さん(故人)という方がいらして、昭和28〜29年頃にその方が回転ずしの走りのようなことをされていたというのです。

舟根さんのお店は、高田馬場駅そばの大黒鮨さんといいまして、あの界隈でたいそう盛ったお店だったそうです。

そのお店のショーウィンドウに導入したのが回転するレーン。

なんでも舟根さんは工業の学校ご出身で、自作で回転レーンを作り、そこに寿司のサンプルを載せて廻していたのだとか。

お客さんが食べるお寿司ではないにせよ、その発想は素晴らしいものがありますね。

……

数えでまもなく84になる四代目。

昔話にはますます磨きがかかってきています。

面白いものがありましたら、またこのブログで紹介しますね。

かっぱ巻きの元祖

気軽に食べられるお寿司の代名詞のかっぱ巻き。

ひと通り握りを食べたあとの締めに、海苔巻きやかっぱ巻きをご注文される方は多くいらっしゃいます。

誰もが知っているかっぱ巻きですが、それを最初に巻いたのは実は八幡鮨の四代目。

戦後の食糧難の時代に、何か寿司の種にならないかと考えているとき「きゅうりでも巻いてみようか」と思いついたそうです。

四代目がまだ10代の頃ですから、新しものをやってみようという前衛的な気持ちもあったでしょうし、それにこれはさらにその先代、三代目の女将(女将は女性寿司職人のはしりですね)が考案した、鉄火に胡瓜の奈良漬けを合わせて巻く、自称「やわた巻き」もヒントになったとのことです。

ヒントをもとにさっそく巻いてみると、これがなかなかに美味しく、これなら定番にできるということで以来品書きに加えてきました。

ただ、明治生まれの三代目はそれを見て、生のきゅうりを芯にするなんて邪道も甚だしいと嘆いたそう。

日本ではもともと野菜を生で食べる習慣などありませんから、本来ならきゅうりと言えども板ずりして熱湯をかけてから食べるわけです。

それをそのまま巻いてしまおうというのですから、昔の人が眉をしかめるのは当然ですね。

然しお客様にはすこぶる好評で、きゅうり巻きはじわじわと世に浸透していきます。

きゅうり巻きがかっぱ巻きと名前を変えていくのはまだ先の話。

小口に切った胡瓜の切り口が、河童の頭のお皿に似ているからだとか、河童が好んで食べるからだとか言われています……

かっぱ巻きの事始め、楽しんでいただけましたか。

八幡鮨では伝統は守りつつ、新しいことにも挑戦していきます。

なにより、美味しいお寿司を作り続けていきますね。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

産地

写真は四代目と大間の118㎏の本鮪です。

お客さんに産地を問われて、「三陸産です!」と答えていればよかった時代とは違い、いまは産地を明らかにすることはとても大事です。

もちろん産地より味が大前提ですが。

海外も含め、数ある鮪の産地のなかでも、大間といえば知らない人はいないでしょう。

今回は大間のなかでもこの日の入荷のトップです。

70年の付き合いの鮪問屋 稲良商店さんは、その日の最高の鮪を優先的に回してくれます。

稲良商店さんの八幡鮨の担当は代々の大番頭さんと決まっていますから、常に最高のものが手に入るのです。

手前味噌になりますが、八幡鮨の鮪は正真正銘銀座の高級店と同じレベルなのですね。

ランチも夜のお好みも全て同じ鮪。

季節季節、その日その日で美味しい鮪をお出しします。

みなさんどうぞ味わってくださいね。img_9867

永六輔さんの思い出

四代目の回想。

先日お亡くなりになった永六輔さんは、四代目の中学校の同級生でした。

それも昭和21年から24年まで、三年間ずっと同じクラスでした。

永さんとは、「永くん」「安井くん」の仲で、席は名前順だったのか、永さんが一番前で四代目は後ろだったそう。

永さんはとても明るく目立つ存在で、授業が休講のときなどは、級長に許可を得て教壇に立ち、みんなに色々な話をしたのだとか。

四代目に話しかけてくるときも「ねえねえ、安井くん!」ととても陽気に触れ合っていて、ですから四代目の記憶の中の永さんは笑顔の永さんなのです。

三年生の頃から永さんは演劇が好きになって、若い国語の先生と演劇の話をよくしていたのを、四代目はよく覚えています。

話はそれますが、早稲田中学のときの数学の先生は、なんとリンボウ先生こと林望先生のお父様、国語の先生はその弟さんだったのだそうです。

更に、永六輔さんのお子さんが高校生の時に、リンボウ先生がその子の先生だったというから驚きです。

こんな偶然があるのですね。

世の中面白いものです。

国語を教えていらした林四郎先生は、早稲田の近所でご健在とのことですから、教え子の永さんが亡くなったことをきいて、さぞお寂しい思いをされていることでしょう。

最近、永さんがトークのライブをやられていたとき、四代目がそれを観に行きました。

ライブのあと、メッセージカードを添えた花束を渡しました。

後日届いたのが写真のはがきです。

「いつか八幡鮨で」。

以後病いに伏せられたため、このことは叶いませんでしたが、永さんも四代目のことを思い出してくれていたことでしょう。

永さん、安らかにお休みください。

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※写真は永六輔さんから届いたはがきです。青いお着物は永さんがデザインした半纏だそうです。

梶田醤油

寿司を食べるときに欠かせない醤油。

醤油を適量つけることによって、その寿司の味をぐっと高めてくれます。

ところでこの醤油の付け方ですが、八幡鮨のお客様は皆さんご存知でしょう。

醤油はあくまで上に乗っている魚につけるものであって、シャリにつけるのはいただけません。

シャリにつけますと、ごはんが醤油をたっぷり吸ってしまい、塩分過多になってしまいますもの。

それともうひとつ感心できないのが、シャリからさかなを剥がして、それを醤油につける食べ方。

せっかく形よく握ってお出ししているのですから、ぜひそのままの形でお召し上がりください。

剥がして食べるなら、最初からちらし寿司を召し上がるのと変わりませんものね。

今日の本題は寿司の食べ方ではありませんので、この辺りで話題を転じましょう。

寿司や刺身をより美味しくしてくれる醤油なのですが、最近八幡鮨ではちょっと変わったお醤油を使うようになりました。

基本的には煮切り醤油を使っているのですが、鮪などの味のしっかりしたものには梶田醤油という、醤油を醤油で仕込む再仕込み醤油を使うこともあります。

この再仕込み醤油、塩辛いというのではなく、濃厚な味わいの醤油でして、醤油を肴にお酒が飲めてしまうような醤油です。

先日数本ほど、この梶田醤油の小瓶を数本預かりました。

よろしければお分けいたしますので、お声掛けくださいね。

1本800円だそうです。

ご家庭でもぜひ美味しい醤油を味わいくださいね。

  

大掃除しようっと!

またまた慌ただしい師走がやってきましたね。

師走といえば大掃除です。

一年間の煤を払い、気持ちも新たに次の年を迎えたいですものね。

普段のお掃除では落としきれていない汚れって、存外落ちにくいんです。

強い洗剤や漂白剤を使えば、お肌が荒れてしまいますし、かといって力まかせにやれば、それだけで疲れてしまう。

そんなとき役に立つのが、アークフラッシュさんの粉状洗剤 Uクリーン。

いままで何度かご紹介してますから、皆さんすでにご存知ですね。

この洗剤は水で溶いて液状にして使います。

そのあとは普通の洗剤と同じように使うだけ。

しつこい油汚れや、茶渋、スモークを作ったあとのタールのような汚れも簡単に落ちてしまいます。

特に洗うときにお湯を使うと効果倍増。

肌にも優しくて、手荒れなどはほとんどしません。

大掃除だけでなく、普段の食器洗いからお手洗いのお掃除、車の洗車にもお使いいただけます。

用途は広く、環境にもやさしいので、ぜひぜひお使いくださいね。

オススメです!

 

こだわりの鮪

江戸前寿司になくてはならないネタといえば、まず鮪ですね。

以前、忙しい晩のこと。

仕入れのバランスがよくなかったのか、早い時間に鮪だけがなくなってしまったことがありました。

ほかのネタは十分にケースに並んでいたのですが、まぐろが売り切れてしまった途端、四代目が突然お店を閉めてしまったのです。

五代目が唖然としていると、四代目がひとこと「鮪がなくてすし屋やってられるか!」というわけです。

その頃の五代目は、鮪も数多くあるネタのひとつと思っていましたから、他のネタを上手く使えば普通に営業できるのに!と憤ったものです。

いまでは鮪こそ、現代の江戸前寿司の王道のネタだということは分かりますし、鮪なくして江戸前寿司を謳うなど考えられないようになりましたが、その頃はまだ若かったんですね。

そして、当時も四代目は歴とした江戸前寿司の職人だったわけです。

さて、そんな存在感バリバリのまぐろですが、八幡鮨では戦前の昔からこだわってきました。

こだわりとはどんな所にこだわるのか、と言われれば「味」ですね。

昔も今も八幡鮨のまぐろは生。

冷凍ものは一切使うことはありません。

生といっても、ただ単に生なら良いというわけではなく、その日に築地に入ったものの中でもトップクラスのもでなければいけないのですね。

その点八幡鮨には歴史があり、鮪問屋さんとは70年のお付き合いがあります。

その鮪問屋は稲良商店(いなりょうしょうてん)さんといって、上物を扱うお店として有名で、八幡鮨に対してこのお店の大番頭さんが、代々責任をもって受け持ってくれています。

そのようなわけで、ふつう八幡鮨のような街場のすし屋では仕入れられないような最上級のまぐろを、最優先で回してくれるのですね。

ただし、現在では産地というものにはあまりこだわりません。

国内の近海物であればそれに越したことはないのですが、一年中近海ものが美味しいというわけではありませんから。

有名な大間の本鮪は冬にこそ本領を発揮してくれるのであって、それ以外の時期は少なくとも八幡鮨では使いません。

秋にはボストンなどの、北米の東海岸沖の、魚体200kg前後のものが断然美味しいわけです。

それを一週間ほど熟成させたときの、美味しいことといったらありません。

夏前後の、ニュージーランドやオーストラリア近海で獲れる本鮪も、その時期では一番だと思いますしね。

何しろ、お客様に食べていただくものですから、これこそがいちばん旨い!というものを仕入れるように努力するわけです。

本鮪のことばかり書きましたが、100kg前後のばちまぐろだっていけるんですよ。

ですから、何より美味しいものを仕入れることを目標にしている次第です。

鮪にこだわって約1世紀。

これからも最上のまぐろを皆さんにお届けしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ちなみに八幡鮨のまぐろですが、さる有名な銀座の高級店と同じものなんですよ(^^)

このお店の名前は、稲良さんから口止めされていますからお教えすることはできないのですが・・・

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築地で何をしているの?

太陽がいちばん元気な季節を迎えましたね!

五代目は夏が大好きです。

生きてる!って感じますから^_^

なにより嬉しいのは、早朝に築地に行くときに、5時まえでもすでに陽が昇っているということ。

冬は暗くて本当に悲しくなりますから…

きょうは築地での魚の買い付けとその流れについて少し書きましょう。

五代目が築地に行くのはだいたい朝の5時。

まずやっちゃ場と言われる青物市場に顔を出して、それから妻もの屋さんや漬物屋さんとまわり、そのあとに魚部門へと進みます。

最初に寄るのが鮪の稲良さん。

このお店とはかれこれ70年のお付き合いですから、その日に競り落とした最高級の生まぐろを、優先的にまわしてくれます。

八幡鮨のランチは夜のお好みで使うものと同じ鮪ですから、相当にお得です。

ちなみに魚市場では、鮪のことを大物、それ以外の魚を小物と呼びます。

面白いですね。

さて、鮪屋さんから足を進めましょう。

次に向かうのが練り物屋さん。

ここでは主に蒲鉾などを仕入れます。

そして最後に小物屋さんの山治さん。

こちらのお店は、築地のなかでも規模が大きく、品揃えがとても充実しています。

なにより大旦那さんはじめ、お店の人たちが常に忙しく動き回っていて、ものすごい活気なんです。

それだけ品物の回転がよいということですから、こういうお店は信用できますね。

山治さんで仕入れをしたあとも、時間があればいろいろ歩き回って、面白い魚を拾い買いしていきます。

たくさんの魚を仕入れますから、電車で持って帰るのは大変です。

ですから八幡鮨では専門の運送屋さんにお願いして届けてもらってます。

仕入れたものは、一旦 茶屋 と呼ばれる集荷場に持ち込まれ、そこから車に積み込まれて運ばれるわけです。

茶屋はちょうど列車のプラットフォームのようになっていて、行き先ごとに分かれています。

八幡鮨の場合は、戸塚(西早稲田の旧町名)地区を受け持つ72部というのが集荷先。

無事にトラックに詰め込まれた荷物たち。

朝の9時すぎには、お店に届きます。

さあ、きょうも張り切って仕込みしましょう!

多くの関係者の方々にいつも感謝しています。

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