東京発九州方面行きの客車寝台特急がとうとう全廃になってしまいましたね。
少しばかり寂しいような気がします。
中学生のころ、長崎の親戚のうちに行くのに、諫早まで「さくら」に乗りました。
当時はまだ14系でも3段ベッドで、五代目はその最上段の、隠れ家のような狭い空間で過ごすことに、ウキウキしたのを覚えています。
それに当時はまた、九州ブルートレインといえば、在来線の最優等列車でしたから、当然食堂車も連結されていましたし。
憧れの食堂車で、朝日の中、長崎ちゃんぽんを食べましてね。
これが美味しいのなんの! 列車の中で、駅弁ではなく、アツアツのちゃんぽんを食べるなんて夢のようでした。
そのころは駅には、いわゆるカメラ小僧など、ブルートレインの取り巻き連中が大勢いて、彼らに囲まれた列車はいつも輝いていました。
しかし、いまから5〜6年前、広島から「富士」に乗って驚きました。
社内はまるで回送列車のようにガラガラ。薄気味悪いくらいでした。
食堂車も、車内販売もなく、おまけに車齢は経っていて、きしみがひどいのです。
鉄道会社のやる気のなさが伝わってきました。
20年の間に、こんなにも変貌してしまったんですね。
このとき、ブルートレインは長いこと無いと感じたものです。
北斗星やトワイライトエクスプレスのように、なにか付加価値を加えた列車に改装し、それを前面に押し出していたら、ここまでの顧客離れは回避できたかもしれないし、あるいは、新たな方向性を見出せたかもしれません。
それでなければ、日本の大動脈において、同じパイの中で、競合(強豪)交通機関に対して勝ち目など絶対にないのですから。
そんなわけで、五代目は、ノスタルジーを感じないわけではないのですが、今回の廃止は、時代の趨勢として仕方がないものだとも思います。
「ふじ」や「はやぶさ」よりも、新幹線や航空機をカバーしていた、「銀河」や「ムーンライトながら」の廃止のほうが残念でなりません。
これからも、新幹線の新規開業で、他方面の寝台列車も廃止に追い込まれていくでしょう。
最終列車を大勢で見送るのではなく、そうならないように、列車を愛する人なら、何年かに一遍でいいですから、実際に乗ってみることですね。
そうしていれば、希望は繋がるかも知れませんから・・・
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