今日は八幡鮨の三代目に登場してもらいましょう。
といっても、30年以上まえに亡くなったので、もちろん写真での登場です。
言うまでもなく、四代目のお父さんであり、五代目にとってはおじいちゃんです。
名前はは清といい、明治33年(1900年)生まれ。
ぎりぎり19世紀の生まれです。
いま21世紀ですから、足かけ2世紀前ですね。
その三代目、ユーモアのひとだったようで、お客さんから慕われていたそうです。
ちなみに、三代目は夫婦で寿司を握っていました。
奥さんは三代目とは対照的に寡黙で、きっちりした鮨職人でした。
みなさん想像してみてください・・・ひょうきんな旦那と、割烹着を着て黙々と鮨を握る奥さんが、つけ場の中で並んでいる構図を。
けっこういい感じじゃないですか?(他に職人さんもいましたから、常時2人でつけ場に立っていたわけではありませんが・・・)
ところで、写真の三代目は、お客さんにまぐろを自慢しているところ。
「どうです。こんなに良いまぐろは銀座でも食べられませんよ!」なんていうセリフが聞こえてきそうな図ですね。
そういう三代目のことが大のお気に入りだった国文学の大家、服部嘉香先生が三代目に一筆書いてくれました。
昔の仮名遣いなので、読みやすく書いてみましょう・・・「このおやぢ 寿し屋の あるじの如く いばらねば 好きになりたり 八幡すしの おやぢ」
短い書ですが、三代目の人柄がじゅうぶんに表れているでしょう?
ここでいう「威張らねば」は、なにも高慢なという意味ではなく、憎めない感じの威張る、だと思います。
五代目の記憶にある三代目は、すでに引退した「ぼくのおじいちゃん」。
現役のときのおじいちゃんが握った鮨を、カウンターで食べてみたいなあ。
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