アレン・ダレス

早稲田大学社会科学部の有馬哲夫先生に頂戴した、新著「アレン・ダレス」を読みました。

アレン・ダレスといえばCIA(中央情報局)長官のイメージが先ず浮かびますが、今回は戦前から戦後にかけてのダレスについて書かれています。

特にOSS(戦略情報局)の欧州総局長として係った対日戦の終戦工作に関する章は、相当に興味深いものです。

米国内で近視眼的な懲罰的無条件降伏論が幅をきかす中、戦後の対共産主義まで見越したダレスやグルーの天皇制存置派の活躍は、結果として日本にとって有難いものでしたし、原爆回避、ソ連の参戦回避論は、ぜひ一読をお勧めします。

もうひとつ興味深いことは、ダレスが弁護士でもあり、彼の行動が、彼の所属する弁護士事務所の、あるいはそれを通しての国益に沿っていたということ。

それともう一点、イギリス情報機関員のイアン・フレミング(007の生みの親)と親交のあったダレスこそが、映画「007」のジェームズ・ボンドのモデルかもしれないということですね!

有馬先生のご本を読むと「情報」がいかに大事かを痛感します。

質の高い情報を収集し、それらの情報を的確に活かせるトップ、またはシステムがあれば、日本を取り巻くしたたかな近隣の大国たちともまともに渡り合えるのになぁ、などと思ってしまいます・・・

※講談社刊 「アレン・ダレス」 税別1900円アレン・ダレス

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