夏休みに家族で新潟に行ってきました。
お客様で慶応義塾の中矢先生という方がいらして、先生の奥様のご実家が新潟の有名料亭ということで、今回はそちらをご紹介していただきました。
五代目は新潟は何度か通り過ぎたことはありますが、まちをゆっくり見るのは始めてです。
新幹線で着いてすぐ、本日のいちばんのデスティネイションの料亭「行形亭」さんに向かいます。
みなさん、「行形亭」と書いて何と読むかわかりますか。
これで「いきなりや」と読むのですねえ。
創業約300年、江戸中期ころから続く老舗のなかの老舗です。
本日は、国の登録有形文化財にも指定されている九番の間でお食事をいただきました。
このお部屋は明治初期の建築で、かの東郷平八郎元帥が舞鶴鎮守府の司令長官だった頃(中将当時)に日本海で演習があるたび立ち寄られたという由緒あるお部屋です。
さてお料理は、まずは食前酒代わりの流し素麺から始まります。
長い竹の筒を素麺がひと箸ぶんずつ流れてきます。
テレビなどで見たことはありますが、実際食べるのは初めて。
涼味を感じていいものです。
お部屋に移ってからは、だだ茶豆、前菜の盛り合わせと続き、行形亭さん名物の「鯨の沢煮椀」が登場します。
このお店の昔からのお料理で、地元で採れる野菜と鯨の脂身がたくさん入った椀ものです。
味は薄味なれど滋味に溢れた逸品です。
器のお椀は130年以上前のもので、一回使うごとに土蔵に納め、丁寧に使い続けるそうです。
歴史あるお店の仕事の一端を垣間見るようです。
お刺身は氷室造りで供されます。
新潟名産の南蛮海老がとろりとして美味です。
焼き物は大振りに切ったのどぐろの塩焼き。
こんなに甘くて脂の乗った焼き魚がこの世にあるのか!というほど美味しく、初めてたべる五代目には衝撃的です。
次にまたこのお店の名物「やきそば」です。
茹でた日本蕎麦を上から下から火で焼き、そこに餡を掛けてあります。
面白いのは、とと豆と呼ばれる保存食にしたいくらが散らしてあり、それがいいアクセントになっていること。
鮭の産地、新潟ならではですね。
次の冷茶碗蒸しもオツで美味しいものです。
五代目も夏のメニューとして冷製茶碗蒸しを作りますが、五代目のそれは仕上げに冷たい吉野餡を掛けてあります。
行形亭さんの茶碗蒸しにはダイス状にした吉野餡のジュレが掛かっています。
いろいろ勉強になります。
温物には村上牛のステーキが登場です。
ステーキもお醤油でいただくとそれだけで和食になってしまいます。
最後に佐渡のコシヒカリで握った海苔のおむすびと香の物で締めになります。
やはり新潟のお米は甘い。
あまりにおいしくてまだまだ食べられそうです。
ご当主の女将さんと、花嫁修業中の仲居さんがずっと付きっきりでいてくださり、お料理の説明や、昔のお話などを、このブログでは書ききれないほど語って聞かせてくださいました。
心の籠ったおもてなしと美味しいお料理で、すてきな夏休みのスタートを切ることができました。
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