最近いろんなところで「熟成」という言葉を目にするようになりました。
特にステーキなどのお肉でよく用いられる用法ですね。
温度管理をしっかりとし、丁寧に熟成させたお肉は美味しいですよね。
では、魚の熟成はどうでしょう。
日本ではこれについては大昔からおこなわれているのですね。
馴れ寿司にはじまる寿司文化は、まさに魚の熟成文化だとおもわれます。
冷蔵庫などの保冷の技術のない時代において魚を保存するには、魚を塩や酢で締めたり、あるいは干したりして日持ちさせるしかなく、生に近い状態で食すにはやはり酢や塩を使う方法が取られてきました。
この当時(といってもものすごく時代に幅がありますが)魚の旨味を出すために締めるという概念があったかどうかわかりませんが、結果として、締めてから長くおくことによって、魚の旨味が引き出されたのは間違いないようです。
近代の江戸前寿司にはじまる小肌などはその良い例で、塩と酢でしっかり締めたそれを3〜5日、あるいは一週間ほども寝かせてから握りますと、酢の酸味よりも寧ろ、小肌のもつ甘みや旨味が全面に出てくるのです。
これはいわば「熟成」の証です。
お肉の世界では殊のほか「熟成」という言葉を前面に押し出しているようですが、寿司をはじめとする日本の食文化ではずっと昔から熟成の技術を持っているのです。
日本の食文化は相当に高いレベルにあるのですね。
これからもその素晴らしい技を伝承し、さらに発展させていければいいですね。
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