普茶料理

法事の席などで。よく供される精進料理。

肉や生魚などを使わずに作る仏事に即したお料理ですね。

精進料理は正式には、作ることも食することもまた修行の一貫という概念があるそうで、そういう精進料理に対して、食そのものを楽しむのが普茶料理なのだそうです。

どちらも肉や魚を食材に用いないというところで似ていますね。

過日、お客様にお連れいただいて、入谷にある普茶料理の名店 梵さんにお邪魔しました。

趣ある佇まいのお店は、鶯谷駅から歩くこと15分ほどの、静かな一角にありました。

今夜は特別にお茶室に通していただき、そちらで頂くことになります。

床の間の立派な掛軸には高僧による「寿山千古翠」の揮毫があり、大層味わいがあります。

お料理はまず、菊花香煎と梵字の彫られたお干菓子から。

前菜は塗りのお重に、綺麗に盛られて出てきます。

箏羹(しゅんかん)と呼ばれる盛り合わせの料理は、揚げ物や酢の物、寒天寄せなど、それこそ色とりどりで、目も舌も楽しませてくれます。

この日の一品料理の揚げ物はなんと牡蠣フライ。

普茶料理は肉や魚はおろか、卵も乳製品も使わないのですから、牡蠣フライといっても、それが牡蠣ではないのは察しがつきます。

しかし、それが何かというとわからい。

切り口も食感も味までもが、牡蠣フライそのものですから。

実は牡蠣だと思っていたものは、椎茸だったのですね。

上に掛かっているソースは、味も色もデミグラスソースそのものですが、それも味噌ベースのタレなのだとか。

このような感じで、最初から最後まで驚きと歓喜の連続でした。

あまねく衆に茶を供する普茶料理。

食事の原点でもある、美味しく楽しくを満喫させて戴きました。

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