誰もが憧れるヨーロッパの豪華列車オリエント急行。
その憧れの列車に日帰りで乗ってきました。
みなさんはどうやって日帰りでパリまでって思われることでしょうね。
実は箱根のラリック美術館に併設されたレストランに、以前欧州を走っていた車両が展示されてるんです。
車両は1928年に製造され、2001年まで現役で走っていたワゴン・リ社製の本物のオリエント急行。
この日はルネ・ラリックの煌びやかな作品を堪能したあとで、オリエント急行の中で優雅なティータイムを楽しみます。
ルネ・ラリックは言わずと知れたガラス工芸美術の大家。
香水瓶から室内装飾まで多くの素晴らしい作品を残しています。
展示の目玉のひとつであるブローチのシルフィード(風の精)はいつまでもそこから離れたくないほどに魅入ってしまいます。
美術館にはモネのジヴェルニーをモデルにしたと思われる庭も配され、椅子に座ってガラス越しに眺めるそれはまるでモネの絵そのものです。
そろそろ発車の時間なので列車にホームに向かいましょう。
その車両に対面した瞬間、あまりの美しさに言葉を失いました。
写真でもお分かりいただけると思いますが、往年のオリエント急行は外装・内装ともに気品に満ち溢れており、車内に足を踏み入れると今にも動き出すかのよう。
この列車のためにルネ・ラリックが作製したガラス細工が至る所に施されていて、紳士淑女の社交場の雰囲気を醸し出しています。
職人が一脚一脚組み上げた藁クッションの椅子に着席すると、メートルディがティータイムの始まりを告げます。
出発と同時にレストランパティシエ特製スイーツとワインが供されたので、流れゆく車窓をイメージしながら時空を超えた優雅な旅をしましょう。
この日のスイーツは葡萄やキウイ、りんごなどのフルーツをふんだんに使ったカスタードクリームのグラタン仕立て。
ワイン片手に思いを巡らす夢のような時間は瞬く間に過ぎ、車掌長が終着駅だと告げてまわります。
後ろ髪をひかれる思いでプラットフォームに降り立ち、列車との再会を約束して箱根路を帰路につきました。