気軽に食べられるお寿司の代名詞のかっぱ巻き。
ひと通り握りを食べたあとの締めに、海苔巻きやかっぱ巻きをご注文される方は多くいらっしゃいます。
誰もが知っているかっぱ巻きですが、それを最初に巻いたのは実は八幡鮨の四代目。
戦後の食糧難の時代に、何か寿司の種にならないかと考えているとき「きゅうりでも巻いてみようか」と思いついたそうです。
四代目がまだ10代の頃ですから、新しものをやってみようという前衛的な気持ちもあったでしょうし、それにこれはさらにその先代、三代目の女将(女将は女性寿司職人のはしりですね)が考案した、鉄火に胡瓜の奈良漬けを合わせて巻く、自称「やわた巻き」もヒントになったとのことです。
ヒントをもとにさっそく巻いてみると、これがなかなかに美味しく、これなら定番にできるということで以来品書きに加えてきました。
ただ、明治生まれの三代目はそれを見て、生のきゅうりを芯にするなんて邪道も甚だしいと嘆いたそう。
日本ではもともと野菜を生で食べる習慣などありませんから、本来ならきゅうりと言えども板ずりして熱湯をかけてから食べるわけです。
それをそのまま巻いてしまおうというのですから、昔の人が眉をしかめるのは当然ですね。
然しお客様にはすこぶる好評で、きゅうり巻きはじわじわと世に浸透していきます。
きゅうり巻きがかっぱ巻きと名前を変えていくのはまだ先の話。
小口に切った胡瓜の切り口が、河童の頭のお皿に似ているからだとか、河童が好んで食べるからだとか言われています……
かっぱ巻きの事始め、楽しんでいただけましたか。
八幡鮨では伝統は守りつつ、新しいことにも挑戦していきます。
なにより、美味しいお寿司を作り続けていきますね。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
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