このところ雲丹を題材にすることが多いですが、今回はみなさんに愛されている五代目の手毬ずしについてお話ししましょう。
お好みやおまかせ握りに入っている雲丹の手毬ずし。
軍艦巻きの海苔の代わりに、薄〜くそいだ鯛を巻き、その上に雲丹を載せ、鯛の部分には煮切り醤油を、雲丹の部分にはサリス・ド・ベアルンをハラリとかけてお出ししています。
なぜ、雲丹をこのような形にしたかといいますと、それには理由がありまして。
八幡鮨の海苔は愛知県の鬼崎や衣崎の、非常に風味の良いものを使用しています。
この海苔は、海苔巻きや鉄火巻きにはとても向いているのですが、繊細な味の雲丹と合わせると、明らかに海苔が勝ってしまうのです。
じっくり味わえば、雲丹の旨味も後からついてくるのですが、まず海苔の風味がガツンと来てしまう。
これではよろしくないということで、試行錯誤の末に辿り着いたのがいまの手毬ずしなのです。
ちなみに、巻いてある鯛は、雲丹の風味を引き立たせる手段であって、味わう目的ではないのですね。
巻く白身も、平目や鮎魚女、鱸などいろいろ試しましたが、雲丹の味が最も引き立つのは鯛である!という結論に行き着きました。
長くなってしまうので、きょうはこの辺にしておきますね。
次回は完成に至るまでの過程をお話しします。
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